グラッセリア青山 事業用定期借地権を用いた土地活用。 都心から地方自治体の情報発信力を向上させた。

プロジェクトにおける課題

福井県は、南青山に県の宿泊施設「ふくい青山荘」をお持ちでした。

利用が低下しているこの宿泊施設の活用が福井県の課題であり、また首都圏において県の情報発信・イメージアップ拠点の確保を検討していました。

なお、「みゆき通り」と「骨董通り」を繋ぐ本施設周辺は、青山通り沿いの大規模商業施設エリアとは異なり、外資系プレステージファッションやデザイナーズブランドの旗艦店が集中するファッション感度の高いエリアです。このエリアの持つ可能性を最大限に引き出して、県に安定的な収益を提供すること、そして県の情報発信機能を施設に持たせることが、本プロジェクトに求められていました。

課題1

収益性における課題県有地は売却せず有効活用し、県は経費の軽減と安定的な収益を確保したい。

投資を極力抑えながら長期安定収入を確保、及び運営のリスクを軽減させるという福井県のニーズを満たす必要がありました。

課題2

施設プランにおける課題南青山の地域特性を活かした施設MD、建物計画が求められる。

青山通り・表参道とは異なるテナント構成・施設MD計画の立案はもちろん、南青山の周辺環境に調和した建物計画が求められました。

課題3

オーナーにおける課題福井県のビジネス支援の拠点・県の情報発信拠点としての充実を図りたい。

東京・南青山の地域特性を活かしたビジネス支援拠点の機能・事業展開や、福井県の魅力を伝え、観光客誘致や産業振興につなげるためのイメージアップ拠点としての機能が求められました。

課題に対する、東急不動産の解決策

福井県の不動産開発・管理リスクを軽減した事業用定期借地方式を用い、かつ周辺環境・商業特性に基づいた低層建物群による施設計画を策定。

福井県にとって、既存施設の建替だけではなく、安定的な収入がありかつ建物運営リスクを軽減するためには、民間事業者による施設の開発・運営管理とあらゆる不動産プロデュース力が必要でした。東急不動産は今まで取り組んできた様々な再開発事業や商業施設開発、また商業施設の運営ノウハウを活かし、本課題の解決に挑みました。

解決策1

収益性における課題事業用定期借地権を設定し、福井県は長期安定収入を確保。

福井県は土地を売却することなく、東急不動産が対象土地を福井県より賃借、建物の建設・保有・テナント賃貸を東急不動産がおこなう事業スキームを、福井県に提案いたしました。

建物は東急不動産の保有・運営となるため、福井県は建物にかかる費用(建設費・維持管理費)を負担することなく、かつ複雑・煩雑な建物運営のリスクを負うこともなく、安定した収入を継続的に得ることが可能になります。

グラッセリア青山施設イメージ

また、この事業用定期借地権は、期間満了による建物解体・更地返還が法的に担保されるため、福井県は、確実な土地返還が期待できます。よって将来、福井県は新たな不動産活用方法を検討することも可能となります。

解決策2

施設プランにおける課題自然や環境に溶け込み、かつ南青山の商環境に適合した低層建物プランを立案。

骨董通りから少し入った閑静な一角にあるこの対象土地。周辺の住宅地に溶け込むよう、中庭を取り囲む分棟配置計画としました。2階建×3棟の小規模な建物を分棟し、それぞれにゆとりのある店舗空間を確保することで、各テナントの営業スタイルに合わせた自由度の高い施設運営が可能となります。

また、通りに面したシンボルとなる楠の木は、古くからこの土地に根付いていた大木です。生長した楠の木を今後の世代に引き継ぐため伐採せず、更に施設の象徴として活かしています。
併せて、この楠の木の周りや共用部・周辺道路の境界には花々や植栽を配し、地域美化や緑化による環境対策に貢献しています。

グラッセリア青山施設前の楠木

南青山エリアは、広場や路地を取り巻く「路面店」としてブティック、カフェレストランなどの出店が多く、原宿・表参道に代表される大規模な複合商業施設とは商環境特性が異なります。
このエリアに出店を求める高級ブティックやレストラン、美容院などファッション感度の高いテナントには、この自由度の高い施設運営が適合します。
感度の高い店舗がこの施設に集合することにより、施設全体の集客力もアップ。
「グラッセリア青山」は、ファッションヴィレッジとして高い評価を得ています。

解決策3

オーナーにおける課題福井県の魅力を「ショップ」だけで伝えるのではなく、広場を活用し地域住民とのふれあいによっても。

この事業の基本的要件であった福井県の情報発信拠点が必要であるという課題に対しては、施設内に福井県の魅力を発信する店舗を設けることにより、来館者にPRします。

施設1階には、福井県のクオリティ高いクラフトや地酒、懐かしいお菓子がそろい、福井県の本物の確かさを発信します。
2階には、展示会から蕎麦打ち教室まで、さまざまなイベントが開催されるホールと、福井県の観光情報、U・Iターン情報を提供する情報ライブラリーがあります。

グラッセリア青山施設イメージ

このように、この店舗は単に物産の販売だけでない、文字通りの「情報発信基地」としました。また隣接区画には、福井県の老舗料理旅館「荒磯亭」が手がける日本料理店を誘致することで、県のイメージアップにも貢献しています。

ファッション感度の高い来館者が多いこの施設において、来場される方々に確実に福井県のイメージをお伝えすることができます。

また、複数の低層建物で構成されたこの施設には、広場があります。
福井県はこの広場を活用。イベントを積極的に開催し、施設周辺の地域住民の憩いの場・交流の場を提供しています。

このように、ショッピングされるお客様はもちろん地域住民の方々にも、福井県は様々な「県の情報・魅力」を伝えています。

プロジェクトの概要
所在地 東京都港区南青山5-4-41
敷地面積 2,148.71m²(650.00坪)
延床面積 2,090.28m²(632.31坪)
店舗数 6店舗
スケジュール 2002年(平成14年)4月 竣工

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