プロジェクトストーリー03
シニア住宅事業
世田谷中町
プロジェクト

約1万坪の広大な敷地に、シニア住宅「グランクレール」と、分譲マンション「BRANZ」の複合開発を行うプロジェクト。シニア事業が手掛けてきた「グランクレール」はシニアレジデンス176戸、ケアレジデンス75戸からなり、過去最大規模。「BRANZ」252戸と合わせれば、総戸数は500戸を超す。

世田谷中町プロジェクト

約1万坪の敷地で行われる大規模プロジェクト

世田谷区中町。閑静な住宅街が広がるこのエリアで、2017年春に竣工した一大事業がある。それが『世田谷中町プロジェクト』だ。敷地面積は約1万坪。広大な敷地の中にラウンジやダイニング、中庭など、共用スペースも充実した「グランクレール」が総戸数251戸の規模で誕生する。「グランクレール」とは東急不動産が2004年より展開してきたシニア向け住宅事業。世田谷中町はその第12弾となるが、お元気な高齢者を対象とした『シニアレジデンス』を中心に、これまで入居者個々のニーズに即したサービスを提供してきた一方で、ホテルのような高級路線のハードも売りとしてきた。

今回はより地に足の着いた『住まい』を提供すべく、ご入居者の安心・安全を守るために必要な部分はきちんと維持向上させ、“上質な住まい”を提供する原点に回帰している。そして、世田谷中町が画期的といえるのは、さらに斬新なアイデアにも挑んでいるため。それが「グランクレール」と分譲マンション「BRANZ」との複合開発。同じ敷地内に総数252戸の分譲マンションも展開するのだ。

世田谷中町プロジェクト

周辺地域にも貢献する
コミュニティの創造

社宅があった敷地を活用しようと、同地のコンペが募られたのは2014年のこと。大手ディベロッパー数社がこれに参加したが、他社はすべて分譲マンションのみでの提案だった。各社に先んじてシニア事業に取り組んできた東急不動産は、他社との差別化を図ろうと、シニア住宅と分譲マンションの複合開発を提案。これまでの施設運営では、生活のすべてが館内で完結していたが、地域に開かれた施設にすることも模索。周辺住民の生活にも寄与するコミュニティカフェや認可保育所の設置、さらに介護が必要な方に医療や生活支援、介護予防などを一体的に提供する『地域包括ケアシステム』の拠点となるような整備計画も企画に盛り込んだ。

その結果、地域ヘの貢献を求める土地所有者の考えと合致。東急不動産の案は採用へと到る。企画は行政からも評価され、東京都からは「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅」補助事業の第1号プロジェクトにも選定された。

世田谷中町プロジェクト

2つの事業がタッグを組んで見据えるヴィジョン

順風満帆に思える『世田谷中町プロジェクト』だが、東急不動産にとってもシニア住宅と分譲マンションの複合開発は初めての挑戦となるため、困難は尽きない。例えば、プロジェクトチームだ。今回はシニア事業グループと、マンション事業グループによる共同事業。いわば混成部隊でひとつのチームを組織したが、まずここに苦労があった。なぜなら、同じ社内でも事業そのものの性格が各々で異なるため、取り組み方にも違いがあるからだ。あるシニア事業の担当者は「組織が共有する方程式に則って1から高みを目指す事業と、前例のないことを個々が自身で考え、0から創り出していく事業」と喩えたが、それほど事業スタイルには違いがあるのだ。

それゆえ2つの事業のメンバーが共同で1つのプロジェクトを推進する手法は難易度が高く、ときには意見を真っ向からぶつけ合うこともあるという。しかし、それでも諦めず前進する理由は、プロジェクトの成功により切り拓かれるヴィジョンを、チームの皆が共有しているからにほかならない。それは、“超”の付く高齢化社会に対する、東急不動産の1つの回答でもある。

世田谷中町プロジェクト

東急不動産が目指す
これからの街の在り方

“理想を笑うな。”これは『世田谷中町プロジェクト』のキャッチコピーだが、このひと言には、誰もが漠然と思い描く理想の暮らしを、必ず実現するのだというプロジェクトチームの強い情熱が宿っている。そのためには、施設やサービスの拡充だけでなく、暮らす人のライフスタイルも巻き込むことが大切だと考えている。施設内に誕生する「カルチャールーム」はひとつの象徴といえるだろう。ここでは「グランクレール」に住む人生経験豊富な高齢者が、「BRANZ」に住む若い夫婦や子どもたち、あるいは地域に暮らす方に向けて、例えばピアノや華道などの教室を開く。

高齢者は教えることで生き甲斐を見出し、受講者は学ぶことで実利を得る。『世田谷中町プロジェクト』は住宅である以上に、多世代交流を実現する新しいコミュニティとして機能するのだ。そして、その機能は自己完結で終わることなく、周辺地域に伝播していく──このプロジェクトは10年後に65歳以上の高齢者が人口の3割にも達するとされる、日本の近い将来に向けた、ひとつの試金石といえるのだろう。そして、この取り組みに、東急不動産が指向する新しい街づくりの方法論もまた、垣間見えるのだ。

※本記事記載の情報は2017年10月現在のものです。