プロジェクトストーリー04
商業施設事業
東急プラザ銀座

銀座の数寄屋橋交差点に面する約115m×33mの希少なワンブロック敷地に地下2階、地上11階の大型商業施設を創出する。用地買収からスタートし、旧ビル解体、新築工事、施設開業に至るまで開発期間約9年・総事業費約1,800億円の大型プロジェクト。「Creative Japan~世界は、ここから、おもしろくなる。~」を開発コンセプトとし、建物外観は江戸切子をモチーフとしたデザインで銀座の新たなランドマークを目指し、2016年3月に開業した。

開発期間9年にわたる
大型プロジェクト

その外観に、スクランブル交差点を行き交う誰もが目を奪われる。地上66mにも及ぶ、切り込みの入ったガラス張りの建物。それが『東急プラザ銀座』。銀座の新たなランドマークとして東急不動産が総力で創出する商業施設だ。屋上テラスからは銀座や有楽町エリアが一望でき、6階アトリウム部には天井の高いガラス張りのパブリックスペースが誕生する。現在このプロジェクトを担うのは約20名のメンバー。「全体を統括しプロジェクト計画を担う事業企画」、「設計や施工をコントロールする開発・建設企画」、「リーシングや運営を担当する商業企画」の3チームで構成される。

スタートは2007年。コンペで物件取得したことから始まった。その後の9年間、平坦な道のりは全く無かった。リーマンショックや東日本大震災など事業環境はめまぐるしく変動を続けた。その後もインバウンドの増加や2020五輪決定など、プロジェクトを取り巻く環境の変化は続く。メンバーは大きな地図や銀座の街を再現した1/500の模型を用意した。開発方針を定めるべくディスカッションを始めるためだ。このロケーションの歴史を紐解き、特性を見極め、将来を見据える。さまざまな視点から白熱した議論を続けた。

そしてプロジェクトを進める上で、あらゆる変化にも対応できる、開発の考え方、揺ぎ無いコンセプトを策定した。その上でプロジェクトを進めながら事業計画、設計プラン、テナント企画を幾度となく練り直し、これからの社会や銀座に相応しい新たな商業施設の姿を模索していった。

東急プラザ銀座
東急プラザ銀座

世界が注目する街にふさわしい
ランドークを生み出す

銀座は伝統と世界の最先端が交わる現代日本を象徴するような街である。その一等地に建てられ、以後何十年にも渡ってランドマークとなる商業施設はどのような姿であるべきか?

オフィスや大型店舗として賃貸面積を整形・最大化すれば、安定した家賃収入が期待できる。運営効率も良い。当初はそうした考えから箱形のビルを企画していた。しかしここは銀座。そのような単純な判断が正解とは限らない。この立地の事業価値の最大化とは? それを東急不動産のフラッグシップ施設として実現するために必要なことは? その想いは、プロジェクトを新たな方向へと衝き動かしていった。

コンセプトや想いを具現化するデザインを追及し、日本だけではなく海外の著名建築家も招いたコンペを実施した。その中に原案となる「光の器」案があった。「光の器」は、外部をガラスカーテンウォールとし、切り子状の凹凸あるファサードを作るデザインだ。西洋と日本の技術の融合で産まれた「江戸切子」。品格ある文様と立体感で斬新さと伝統美が表現される一方で、テナントが有効に使える床面積が箱形のビルよりも減ってしまい、事業採算性などについても綿密な試算が求められる。異型なガラスのパーツを製作し組み立てる建設コストや施工精度、メンテナンスの問題など、実現にはいくつもの難関があるが、メンバーはこのデザインへの確信があった。実現できれば、見る人を惹きつける圧倒的な存在感のあるランドマークが誕生するはずだと。

東急プラザ銀座
東急プラザ銀座
東急プラザ銀座

ベテランの経験と
若手のエネルギーが合致する

「Creative Japan」というコンセプトのもと、各々のチーム、メンバーは仕事を進めていく。しかし、それぞれの立場から見方は変わるため、全員が参加し多面的な問題の解決を計る会議が幾度となく行われた。

例えば施設内エスカレーターの位置をどうするか? 利用者のよりよい回遊性を図ることは当然ではあるが、法規制や売場づくりの観点など、チームそれぞれの立場から見解が述べられた。「光の器」の実現に向けても、実寸大サンプルを用いた検証、議論を納得いくまで繰り返した。日々の議論と判断の幾重もの積み重ねにより、ベストな施設へと昇華していくこととなる。こうした会議では役職や年次に関係なく、フランクな雰囲気で自由闊達に意見交換が行われている。豊富な事例を経験しているベテランメンバーの意見には説得力がある。一方で、若手の担当者も負けてはいない。担当するテナントの立場の声やユーザーとしての感性、事例研究に基づく説得など、熱意ある取り組みで課題解決と共に日々成長を遂げていく。

東急プラザ銀座
東急プラザ銀座

コミュニケーションの積み重ねが
商業施設を育てる

東急不動産が手掛ける施設は、その街や土地に合わせて、ひとつ一つこだわり抜いて創られる。なぜなら、施設は「その街」に在り、その街との有機的な連鎖の中で生き、成長していくからである。これは東急不動産の「街づくり発想」のDNAそのものである。特にここ銀座は商店街として日本一の伝統を有している街だ。街には老舗店の旦那衆や学者の方々による組織や、「街のにぎわい」と「銀座の風格」という相容れにくい2つの側面を両立させるための「銀座デザインルール」があり、街の未来を真剣に考えている。

当プロジェクトに対しては、大規模施設にありがちな巨大で無表情な壁面を避け、圧迫感を解消する銀座らしいデザインが期待された。また公共空間の創出で街への貢献も求められた。これらのリクエストにどう応えるか? いつものように街の人々とのコミュニケーションにエネルギーと時間をかけ、期待に応える街づくりに取り組むだけである。当初「渋谷から来た会社が銀座でどんな開発をするのか」と警戒された節もあったという。しかし説明の場を何度も設け、地元の活動にも参加する中で、さまざまなこと学び、プロジェクトに反映させてきた。その過程で互いの理解も深まり、「光の器」や「6階アトリウム」が生まれた。

商業施設は公共性が高く、世の中の動きやトレンドとともに生き物のように変化していく。建物が完成し、開業したとしても、それは新たな始まりの一歩である。開業後も、街や人と共にこの施設を育てていく役割を継続する。

東急プラザ銀座
東急プラザ銀座

※本記事記載の情報は2017年10月現在のものです。