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2021年03月31日

プロジェクト・ノート

「物流施設事業」篇

はたらく人を笑顔に。
そして、周辺地域への貢献をめざす

深刻な労働力不足という課題に直面する物流業界が今、働きやすい環境の整備に着手し始めています。当社ではこの新たな潮流を踏まえ、物流の未来を見据えた事業を2017年より展開しています。

現場で働く人々のウェルビーイング(well-being:人が身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)に寄与し、テナント企業や周辺地域にも新たな付加価値を提供するために、私たちは日々、どのような取り組みを進めているのか。ここでは、オフィスビルや商業施設で培ってきた、東急不動産ならではのノウハウを活かした物流施設事業の特長と、代表施設の概要を、担当メンバーが語ります。

(左から)
岩﨑 柊次
都市事業ユニット インフラ・インダストリー事業本部 ロジスティクス事業部 事業統括グループ 兼 新規開発グループ

小林 雅裕
ロジスティクス事業部 新規開発グループ グループリーダー

大原 雄史
ロジスティクス事業部 事業推進グループ

物流施設事業に参入した背景

Amazon、楽天市場をはじめとするeコマース市場が拡大する現在、物流は私たちの生活に不可欠な重要インフラとなっています。
物流業界では従来、コストやオペレーション効率が最重視され、倉庫など関連施設の開発・設計フェーズでは、生産性の追求とコスト抑制が至上命題でした。ところが2010年代の半ばごろから、効率重視の過酷な作業環境などが影響し、業界の労働力不足問題がいっそう深刻化しました。加えて、災害時のBCP(企業や自治体が平時から用意している事業継続計画)への協力要請などを背景に、外部環境の変化に応じた柔軟な判断・行動をするためのコミュニケーションや創造性が、現場を支える人々に求められるようになりました。

これからの物流施設には、「新しい付加価値」が求められるようになる―。このような考えに至った私たちは、業界の社会貢献度の高さや収益の安定性を見込んで、2016年に物流施設事業に参入。2017年からは「LOGI'Q(ロジック)」という自社ブランドを立ち上げ、事業展開を加速しました。

明日の社会を支える、東急不動産のロジスティックス LOGI'Q

eコマースを支えるきめ細かな物流網の一端を担うため、都心部の"ラストワンマイル"を担う「都心型」案件と、都市をつなぐ主要高速道路に近い「広域型」案件の両方を、バランス良く進めています。

東急不動産の物流施設事業の強み

これまで東急不動産では、さまざまな施設開発に携わる中で、「building smiles はたらく人を笑顔に。」をコンセプトに、働きやすい環境づくりを進めてきました。そしてLOGI'Qにも、このコンセプトと蓄積したノウハウを反映させています。物流施設の開発にあたって、私たちが常に心がけているのは、テナント・荷主・周辺地域など、施設に関わるすべての人にあたたかく、働く人のステータスになるような空間づくりです。施設内には、効率の良い荷役作業に配慮した環境はもちろん、仕事のストレスを軽減し、コミュニケーションや創造性喚起のために休憩室を整備するなど、働く人々のウェルビーイングに寄与する工夫が凝らされています。

「LOGI'Q白岡」の施設内に整備した休憩室 「LOGI'Q白岡」の施設内に整備した休憩室

また災害時の非常用設備、地域の風景に溶け込む屋外テラスなど、周辺地域にも貢献できる場所として施設開発に臨んでいます。

物流施設事業のめざす姿

物流業界には今、いっそうの業務効率化を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流が押し寄せつつあります。そこで当社では、NTT東日本、および物流DXを手がける PALと連携し、2021年度よりローカル5Gを利用した倉庫内オペレーションの自動化・効率化を目的とした実証実験を開始します。加えて、生鮮食品のeコマース市場の拡大などを踏まえ、冷凍冷蔵設備を完備した次世代物流センターの創出を目的に、ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング、およびJA三井リースとの業務提携契約を締結し、企画化の検討を開始しました。このような異業種企業とのコラボレーションによって、物流施設のさらなる付加価値向上を実現していく考えです。

また、当社の再生可能エネルギー部門と協業し、建物の屋上に太陽光パネルを設置することで、物流施設内で使用する電力の一部を再生可能エネルギーへと転換することを検討するとともに、災害時にはBCP対策として地域に電力を還元するなど、SDGsに貢献できる施設を増やしていく計画です。こうした取り組みによって、物流施設は単なる倉庫としての機能にとどまらない、大きな可能性が広がっていくと考えています。

「LOGI'Q枚方」の屋上には、太陽光パネルを設置

以上のように、LOGI'Qは地域社会とテナント各社、そこで働く従業員の皆さまにとって価値ある施設を生み出すために、多様な案件開発を推進しています。この事業は、私たちの現在の生活に不可欠なビジネスであると同時に、産業界の変化や新たなニーズを採り入れながら、未来の社会を支えるインフラとなるよう、長期的な視点に基づいた戦略が不可欠だと認識しています。今後はグループシナジーを活かして、物流施設、再生可能エネルギー、データセンター、研究所、オフィス、商業施設などが集積する産業型の街づくりを手がける構想を持っています。

LOGI'Q三芳の施設紹介

LOGI'Q三芳LOGI'Q三芳の外観

<施設概要>

所在地 埼玉県入間郡三芳町上富1163番他
延床面積 21,488坪
竣工 2020年1月

平林 夏生
インフラ・インダストリー事業本部 ロジスティクス事業部事業推進グループ

「LOGI'Q三芳」は、2017年に火災で焼失した「旧ASKUL Logi PARK 首都圏」の建替え事業としてスタートした、BTS型(特定のテナント企業のニーズに応じて建設し、棟全体を賃貸する)の物流施設です。長期的なスパンで地域との共生を図る「サステナブル・ロジスティクス」と、働く人のモチベーションや生産性向上に資する「新しい働き方の提案」をコンセプトに、総合デベロッパーならではの施設を計画しました。

施工期間中は、関係者の皆様の協力を得ながら、チーム一丸となって「働きやすく、近隣の皆さまからも長く愛される施設づくり」をめざしました。また、新しい法令基準や消防ガイドラインを上回る消防設備の設置など、安心安全を追求する私たちの取り組みは、総務省から高く評価され、「優良消防用設備等」として2020年度に表彰されています。