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2020年11月19日

プロジェクト・ノート

「LOGI'Q三芳」篇

社会課題の解決を図る
次世代物流センター

Part 2

物流業界で働く人のことを考え続けて

アスクル株式会社 執行役員 ECR本部 本部長
 天沼 英雄さん

新しく再生したアスクルの物流施設には、現在の物流業界が抱えるさまざまな課題に立ち向かう取り組みが、随所に盛り込まれています。これからの物流施設に求められるものは何か、物流業界における新しい働き方とは?依頼者の立場から、また、東急不動産の良きパートナーとして、アスクル株式会社の天沼英雄本部長に話を聞きました。

働く人にとって良好な環境が生産性を向上させる

ここには、かつて、当社としては初めての自社物件であった「ASKUL Logi PARK首都圏」という物流センターがありましたが、2017年に発生した火災によって、すべてが焼失しました。再建計画には、数社のデベロッパーの手が上がりましたが、総合デベロッパーらしい、新しい働き方を具現化する提案がふんだんに盛り込まれていたことに心惹かれ、東急不動産を選びました。

東急不動産には、安心安全への取り組みをはじめ、前回のセンター建設時に課題として残っていた施設部分の修正まで、一緒に考えていただき、非常によかったと思います。この建物の外観についても、世界農業遺産に申請している三富新田(さんとめしんでん)の景観にマッチするデザインをご提案いただき、三芳町長と一緒に選定しました。環境との共生というコンセプトにも非常に感銘を受けました。

当社では、各センターに所属するすべての従業員に昼食を無料で提供しています。栄養バランスがとれた温かい食事によって、働く人が元気でいることが、事業の一番重要なポイントだと考えているからです。そんな私たちの想いをご理解いただき、「LOGI'Q三芳」では、充実したさまざまな施設を導入しました。

例えば、駐車場に隣接するスペースに設けた運動施設「ちょいトレパーク」や、オールジェンダーに対応した「いろどりトイレ」、五感に訴えかける音響空間サービス「KooNe」など、総合的な視点で、働く人に優しい環境を真摯に考えていただきました。屋上の「みはらしテラス」もそのひとつです。テラスに至る動線も気持ちがいいのですが、三富新田が一望できる見晴らしも最高です。周囲に高い建物がないこともありますが、とても爽快で、気分転換にうってつけの場所です。

住宅の設計も同じだと思いますが、人の動線や、部屋そのものの数や配置など、どうすれば過ごしやすいか、完成した後にならないとわからないこともたくさんあります。今回の再建では、そういった部分もすべて見直し、できる限り修正したことで、働く人にとって、本当に良い施設ができたと感じています。

再生する施設に込められた責任と未来への想い

焼失前のセンター建設時、私はこの施設の建築とマテリアルハンドリングの設計を担当していました。この土地が更地の頃から見ていたこともあって、非常に強い思い入れがあります。それだけに再建した姿を見た時には、本当に立派な建物ができて、感慨深いものがありました。こうやって立ち直ることができるのだと大きな勇気をもらいました。

焼失後、ここで働いていた多くの皆さんには、引き続き会社に留まり、別の職場で働いてもらいました。このたびの再建を機に、少しずつではありますが、異動先から戻ってきてもらっています。なかには残念ながら、自宅から遠く離れた職場であることを理由に退職した方もいますが、きちんと雇用を守ることは私たちに課された責任です。この三芳町での事業を再開し、以前働いていた従業員の皆さんが戻ってきて初めて、再建の目的が果たせると考えています。

物流業界では人手不足が喫緊の課題です。年々、この課題は大きくなってきていると感じます。働いている方々も、環境の良い場所で働きたいと思っていることは間違いありません。その昔は、物流施設といえば、湾岸沿いで交通の便が悪い場所に多くありました。しかし、ある時期を境に、通勤しやすい便利な場所に変わってきました。このように、物流施設の立地条件も、時代によってずいぶん変わってきています。

現在では、人手不足解消のためには、作業中の歩行距離をいかに減らすか、いかに重たいものを持たなくて済むようにするかなど、設備の自動化は絶対に必要な要件ですし、そういったことを考えることがすごく大切だと思います。昔の考え方を変えてこそ、生産性の高い物流施設が実現できるのだと思います。

また、環境経営を重視する当社では、2016年に「2030年CO2ゼロチャレンジ」を宣言するとともに、2017年には国際的イニシアチブである「RE100」および「EV100」に同時加盟しています。「EV100」では、お客さまに荷物をお届けする小口配送車両すべてを2030年までに電気自動車にすることを目標としており、この「LOGI'Q三芳」にも「EV100」に対応する設備を用意しています。

お客さまのために進化し続ける企業であること

新型コロナウイルスの感染拡大は、物流業界にも多くの影響を与えました。そのなかで強く意識したのが、「私たちは日本の社会インフラである」ということです。テレワークが進んだことも大きいのですが、会社や自宅で使う普段使いの品物が、外出することなく、通販でお買い求めいただけることに多くの支持をいただき、需要が増加しました。

また、厚生労働省や経済産業省とともに、医療機関などに対して、不足がちであった手指消毒剤やマスクをお届けしてきました。この国が直面した非常事態において、皆さんから信頼され、そしてその役割をきちんと担っていけたことは、大変誇らしく感じています。今後、第三波の可能性も指摘されるなかで、もしもの際にはしっかりお手伝いできるよう、体制を整えたいと思っています。

当社の企業理念は「お客さまのために進化する」です。進化というと非常に抽象的で、いろいろな捉え方ができますが、私は、「お客さまの顔を見て仕事をすること」と解釈しています。お客さまが品物を受け取った時、梱包を開けた時、自分ならどうしたいか、どうあって欲しいか。それを常に考え、それに応えることです。創業当時から変わらぬ企業理念が表しているのは、そんな、きわめて普遍的なことです。私たちのこの理念を具現化するためにも、新しく生まれ変わった「LOGI'Q三芳」には大いに期待しています。

Project Information

名称 LOGI'Q三芳
所在地 埼玉県入間郡三芳町上富1163番他
延床⾯積 71,035.71m2(21,488.30坪)
主要用途 倉庫(倉庫業を営む倉庫)
竣工 2020年1月