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2021年03月31日

プロジェクト・ノート

「再生可能エネルギー事業」篇

Part 1

総合不動産会社の強みを活かして、
脱炭素社会に貢献

2015年に採択された、気候変動に関する国際的枠組み「パリ協定」を踏まえて、日本政府は2020年10月、温暖化ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする「脱炭素社会」をめざすことを宣言。企業にも具体的な取り組みが求められています。東急不動産では、私たちならではの強みを活かした再生可能エネルギー事業を展開することで、「脱炭素社会の実現」「日本のエネルギー自給率の向上」「地方経済の発展」に貢献しようとしています。ここでは担当部門のメンバーが、再生可能エネルギー事業の概要と特長、近未来の可能性などについて紹介します。

(左から)
古賀 喜郎
都市事業ユニット インフラ・インダストリー事業本部 再生可能エネルギー第二部 事業統括グループ 兼 本部統括グループ グループリーダー

田熊 拓也
都市事業ユニット インフラ・インダストリー事業本部 再生可能エネルギー第二部 事業統括グループ 兼 本部統括グループ

再生可能エネルギー事業に参入した背景

2011年に発生した東日本大震災によって、大規模な発電所で発電し広い地域に送電する「集中型」の電力供給体制は、災害時のリスクが高いことが露呈しました。近年は小規模の発電所を各地に設置し、電源を一極集中させない「分散型電源」が注目されています。

この分散型電源において大きな役割を期待されているのが、太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーです。なぜなら、火力発電によって生じる環境負荷、および石炭や天然ガスといった燃料自給率の低さといった従来からの課題を解決でき、特に太陽光発電は、比較的小規模の設備でも発電が可能だからです。

日本のエネルギーにまつわるこうした環境変化を踏まえて、東急不動産では2012年から再生可能エネルギー発電事業を開始しており、2016年からは「ReENE(リエネ)」のブランド名で太陽光発電や風力発電などを全国で展開しています。

ReENE 東急不動産の再生可能エネルギー事業[リエネ]

現在では、開発中の案件とあわせて計53事業(2020年12月末時点)を手がけています。すべての事業の定格容量(発電可能な最大出力)を合計すると1,145MWとなり、一般家庭約37万世帯分の電力量に相当します。この容量は不動産業ではトップクラスで、再生可能エネルギー事業者全体でも上位のポジションを獲得しています。

また、私たちは2019年4月、企業が自らの事業で使用する電力を100%実質再生可能エネルギーで賄うことをめざす国際的なイニシアティブ「RE100」に、日本の不動産業界として初めて加盟しています。さらに2021年2月、RE100の達成目標年を、当初計画していた2050年から2025年に前倒しすることを発表しました。同年4月には、「渋谷ソラスタ」など計17物件へ供給する電力を再生可能エネルギーに切り替えるとともに、全国に保有する全施設(スキー場、ホテルを含む)で使用する電力も順次、再生可能エネルギーへの転換を計画しています。

東急不動産ならではの強み

私たちはもともと、総合デベロッパーとして多岐にわたる開発事業を推進してきた企業です。地域・社会・環境にかかわるさまざまな課題とも向き合い、解決策を模索する中で培った経験は、ReENEの中でも活かされています。つまり当社にとって再生可能エネルギー事業は、既存事業との親和性が高いビジネスといえます。

また、この事業に不可欠な用地取得・開発のプロセスでは、これまで培ってきた都市開発のノウハウを十二分に発揮できます。長年、地元の地権者との関係づくりによって事業をまとめてきた当社だからこそ、既存の電力会社には難しい、大規模な再生可能エネルギー事業の企画・推進が可能なのです。

リエネ銭函風力発電所(北海道小樽市) リエネ銭函風力発電所(北海道小樽市)

リエネ長南太陽光発電所(千葉県長生郡) リエネ長南太陽光発電所(千葉県長生郡)

一方で、ReENEは当社にとって、参入間もない新しい事業であるため、社内でのノウハウの蓄積が重要な課題であると認識しています。業界全体もまだ成長途上にあり、法規制も含め刻々と変わる情勢をキャッチすることに努めています。

再生可能エネルギー事業の未来

2019年12月、私たちは再生可能エネルギー事業の目的を「脱炭素社会の実現」「地方経済の発展」「日本のエネルギー自給率の向上」と定義しました。この3つの目的は、いずれも日本社会の喫緊の課題であり、私たちの事業特性と経営資源を活かすことで、解決の道筋を付けられると考えたからです。

これらの目的に沿った、近未来の社会基盤を支えるビジネスモデルとして、再生可能エネルギーをベースとしたソリューション提供を構想しています。例えば、エネルギーの地産地消を推進する自治体と再生可能エネルギー事業者を結びつけるマッチングシステムの開発、発電所を中心に地域の活性化を図る交流場所の建設といった取り組みが考えられます。

このような、電力供給だけにとどまらない課題解決型のビジネスモデルを具現化するために、当社を含む複数の再生可能エネルギー事業者が中心となり、再生可能エネルギーを通じた互恵的な地方活性化をめざす「FOURE(フォーレ)構想」という枠組みが、2020年度にスタートしています。発電インフラの整備・運用との併行で、地域資源の活用や雇用創出などを目的としたメニューを検討・企画しており、すでにふるさと納税などと連携させた取り組みを一部の地域で開始しました。今後も順次、実証実験を進めていきます。

ReENEという事業を、20~30年先にも人々から求め続けられるものにしていきたい――。この想いをメンバー間で共有しながら、再生可能エネルギーをベースとした地域社会へのソリューション提供を図っていきます。