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vol.402021年12月27日

「循環型ファッション」篇

循環型ファッションをめざす
新たなコミュニティ拠点
「NewMake Labo」開業ストーリー

需要を上回る大量生産と、大量破棄――――。アパレル産業で常態化していた事業モデルが今、岐路に立っています。
東急不動産では売れ残り衣類の多くが廃棄されている現状と、捨てられるはずだった服の価値を高める「アップサイクル(※1)」に着目。

体験型シェアリングサービスを手掛ける株式会社STORY&Co.の、循環型ファッションの実現をめざす斬新なコミュニティ「NewMake(ニューメイク)」とタッグを組み、本コミュニティの交流拠点「NewMake Labo(ニューメイクラボ)」の協働運営をスタートさせています。

今回は、立ち上げの経緯や反響、まちづくりとの相乗効果などについて、担当者が語ります。

(※1)アップサイクル・・・通常、アパレル製品をリサイクルする際には、原料に戻す工程などで多くのエネルギーを消費します。一方、アップサイクルでは製品の原形をなるべく活かし、価値を高めて生まれ変わらせるため、地球環境への負荷を抑制できます。単なる再利用のリユースとも異なり、製品寿命を延ばせる可能性も高まります。

瀬志本 藍
スマートシティ推進部イノベーショングループ 兼 都市事業本部商業施設営業部企画グループ

※担当者の所属部門は、2021年12月時点のものです。

アパレル産業の「現実」と、
にぎわい創出への「可能性」が出発点

日本では、年間およそ10億6000万着(※2)もの衣料品が余剰在庫化しているといわれています。「NewMake」は、アパレル企業が抱える大量の在庫を、一般募集されたメンバーが独自の感性でアップサイクルし、服に新たな価値を付加することで、循環型ファッションの実現をめざすコミュニティで、体験シェアリングサイトを展開するSTORY&Co.が企画・運営しています。

その拠点である「NewMake Labo」の企画が立ち上がる契機となったのは、数年前に当社の都市事業本部内に発足した「次世代型商業プロジェクト」でした。当社が推進する神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業や、渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業の進捗を見据えながら、これからの時代の商業施設について議論し、Z世代に象徴される、これからの社会を支えていく若い世代の関心が高いテーマについてもリサーチしました。

この時に出たキーワードのひとつが「コミュニティ」です。2019年秋のことですが、「東急プラザ表参道原宿」にある屋上広場「おもはらの森」にて、ランタンの光に彩られた非日常な空間をつくり、参加者同士のコミュニティづくりを目的とした「表参道ランタンナイト」というアウトドア・イベントを開催しました。実はこの時、50名の募集人数に対して、およそ2,300名もの方から参加の申し込みがあったのです。この経験により、まちづくりにおけるにぎわいを創出するための仕掛けのひとつとして、「コミュニティづくりには大きな可能性がある」と確信しました。また同じ頃、アパレル企業とのコミュニケーションを重ねる中で、私たちは衣服の大量生産・大量廃棄という、サステナブルな環境づくりとは真逆の深刻な現実があることを知りました。こうした経緯から、NewMake Laboの企画が立ち上がりました。

(※2)株式会社小島ファッションマーケティング調べ。

「リアルな場」だからこそ、
オリジナリティの高い価値を生み出せる

「NewMake Labo」は、地球規模の環境課題に対して、同じ志を持った企業・個人が集う、サステナブルファッションを軸にしたコミュニティスペースです。約半年の準備期間を経て、2021年7月、表参道・原宿エリアに開設しました。このラボでは、アパレル企業から提供を受けた余剰在庫の衣料品などを、新たな作品にアップサイクルしています。若手デザイナーらが同じ空間を共有し、服のアップサイクルを通して交流できる場をつくることで、未来のファッションシーンを盛り上げるねらいもあります。

循環型ファッションの実現をめざす本コミュニティは、東急不動産ホールディングスグループが長期ビジョン「GROUP VISION 2030」で掲げたテーマのひとつである「サステナブルな環境をつくる」に該当する取り組みです。同時に、SDGsの目標達成にも貢献するものです。

なお、私たちがNewMake Laboというリアルな場づくりにこだわる理由は、「偶然の出会い」という価値を大切にしたいからです。例えば、欲しいモノに出会いたい人は、オンライン上で検索すればアクセスできます。一方、リアルの場では「たまたまそこにあった商品」「偶然隣にいた人」といった、予期せぬ出会いがあります。これはリアルの空間でしか得られない価値であり、にぎわいのある豊かなコミュニティづくりにも通じます。また、いろいろな人とコミュニケーションを図りながらアップサイクルすることで、発想も豊かになるはずです。リアルの場でしか生まれないコミュニケーションの手触り感が、「オリジナリティの高い価値」を生み出す源泉になると、私たちは考えています。

「NewMake Labo」では、若手デザイナーたちが
衣料品のアップサイクルを手掛ける。

NewMake Laboを具現化していく過程では、不要になった衣料品を原料に戻して活用する「リサイクル」ではなく、従来はあまり認知されていなかった「アップサイクル」という概念を、いかにわかりやすく説明するかが難しい点でした。試行錯誤をする中で、「東急不動産はこのサステナブルな取り組みを通じて、表参道・原宿エリアにどんな魅力を付加しようとしているのか」という理念を語ることで、ステークホルダーの皆さまの共感を得ることこそが重要だとわかりました。結果として私たちの真の意図が伝わったからこそ、数々の著名なブランドにも参画いただけたと思っています。

大量生産・消費・廃棄という社会課題に、循環型ファッションの普及によって真正面から向き合う取り組みは、幅広い世代の人々に注目され、新聞・テレビ・ラジオ・ウェブ媒体にも取り上げられたことで大きな反響を呼んでいます。コミュニティ型のラボという独自の仕組みと、繊細な手仕事から生み出された完成度の高い作品群は、専門家からも高く評価されています。メディア報道をきっかけに、これまで当社と接点のなかった企業から引き合いをいただく機会も増えました。

ニットクリエイターの蓮沼千紘氏が、
アップサイクルによってつくりあげたドレス。

原宿の歴史・文化を、
「これからのまちづくり」につなげていく

NewMake Laboのある表参道・原宿エリアは、日本のファッションの中心地であり、東急不動産にとっても広域渋谷圏の中心となる本丸です。本取り組みのスタート地としてこの場所を選んだことは、アパレル業界の課題解決のみならず、このエリアの将来をともに考えながら新たな魅力をつくり出していきたいという、東急不動産の本気度を示すことができたと思っています。

NewMake Laboは、個性的なショップが
集中するエリアに立地している。

表参道・原宿の歴史を紐解くと、そこには個人のファッションクリエイターの活躍が常にありました。NewMake Laboを通じて、そのような歴史・文化を大切に育みながら、神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業をはじめとする「これからのまちづくり」につなげていきたいと考えています。

東急不動産ホールディングスでは長期ビジョン「GROUP VISION 2030」を発表しました。そのなかで、6つの価値創造への取り組みテーマ(マテリアリティ)を定めています。本プロジェクトは「サステナブルな環境をつくる」に該当するものと考えます。

GROUP VISION 2030

8.働きがいも経済成長も

12.つくる責任 つかう責任

17.パートナーシップで目標を達成しよう

東急不動産ホールディングスグループは、2015年に国連サミットで採択された2030年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献しています。持続可能な世界を実現するための17の目標のうち、取り組む項目を定め、SDGsを起点にサステナブルな社会と成長をめざします。
本プロジェクトにおいては、上記の目標の達成に寄与するものと考えます。

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