
挑戦する人 森長寛さん
東急不動産と挑戦するDNA
DATE 2025.09.12
東急不動産は、社員に対し事業プロデューサーとして高い視座と広い視野を獲得することや、一人ひとりの「挑戦」と「自律」を支援するために、人事制度改定をはじめ、さまざまな環境整備を進めています。そんな中で社員の皆さんはどのようなキャリアを思い描き、仕事に打ち込んでいるのでしょうか。今年度は、自発的に社内研修を利用して得たものをキャリア構築に活かしている方にフォーカスを当て、思い描くキャリアの実現を支える「学び」のあり方について伺いました。
仕事を通じた自己実現×意欲的な学習
=共創による実現への視野
首都圈住宅事業本部分讓計画部 事業企画G

PROFILE
- 2011年4月~
- 新卒入社 シニアライフ事業本部 シニア事業部
- 2014年4月~
- ウェルネス事業 ユニットウェルネス事業本部 ヘルスケア事業部
- 2014年10月~
- (株)東急イーライフデザイン出向
※シニア事業においては、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の管理運営や法改正対応などに従事
- 2015年4月~
- 住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部 マンション事業第二部
- 2020年4月~
- 住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部開発第一部 横浜支店
- 2022年2月~
- 住宅事業ユニット お客さま部
- 2023年10月~
- 住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部 計画第一部
- 2025年4月~
- 住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部 分譲計画部
※住宅事業においては、分譲マンションの企画開発(計画業務)、用地仕入れ(買収業務)、アフター事案対応など幅広く経験
現在の主な担当業務
- 分譲マンションの計画業務をライン長として担当。
ブランズシティ品川テラスやブランズシティ品川ルネキャナルなどの大規模物件に加え、定借事業や等価交換事業、共同事業※など事業関係者が多岐にわたる物件を中心に計6物件を所管。
※定借事業:土地を一定の期間だけ貸し出し、その期間が終わると契約が終了する「定期借地権」という仕組みを使った開発事業形態。
等価交換事業:土地の所有者が土地をデベロッパーに提供し、デベロッパーがその土地上に建物(区分所有建物)を建設する。建てた区分所有建物や土地の共有持分(敷地共有持分)を、出した土地や費用の割合(出資割合)に応じて分け合う開発事業形態。
共同事業:デベロッパーや土地の持ち主など、複数の関係者が共同で出資・協力して行う開発事業形態。
01人との思い出をとどめる場所をつくりたい

森長さんには、仕事のやりがいを明確に実感する瞬間があります。
それは、「住まう人の生活を思い描き、その人の人生に思いを馳せながら、分譲マンションの企画開発時におけるさまざまな判断や決断を行う瞬間」。
「ここに住まうお子さんは、自身が大きくなった時、幼少期に家族と過ごしたこの住まいでの想い出が、いつまでも大切に残り続けるんだろうな、と想像するんです。そうしたら、人生に関わる仕事だけに、惰性では判断できない。細部まで考え抜いた良い住まいを作ろう、と気持ちを新たにします」
そう思うのは、この仕事のやりがいと森長さんがかつてデベロッパーを志した理由が結びついているからです。
「私は物心ついた時から、いわゆる『おじいちゃん・おばあちゃん子』でした。幸い祖父母とも今も健在ですが、一緒に過ごした環境や、よく連れて行ってもらった商業施設などの思い出は、ずっと大切な記憶として残っています」
大切な人と過ごした「場所と時間の記憶」。仮にもう会えない人だとしても、その空間が残っていて、そこを訪れることにより、思い出の中で大切なその人は生き続けてくれるのではないか——。誰にとっても、そんなかけがえのない空間や機会をつくりたい。就活時に抱いていたそんな思いが、森長さんの原動力です。
02持ち前の学習意欲に先人の学ぶ姿勢が火をつけた

学生時代から、学びへの意欲が強かった森長さん。大学時代には、中学・高校の教員免許も取得しています。
「両親が教員だった影響もありますが、もともと人の成長に関わることが好きでした。学生時代にしか挑戦できない資格を取っておこうと思ったのも、教員免許を取った理由の一つです」
東急不動産入社後も、社内の研修制度を積極的に利用してきました。持ち前の自らを高める意識の高さや学習意欲に加え、先輩社員の姿勢から大いに影響を受けたといいます。
「入社間もない頃、憧れる先輩社員の方が多忙な中で研修を受講し、自己研鑽に努められている姿を目の当たりにして大きな刺激を受けました」
実際に受講して役立った研修を教えてもらったことも、ご自身が研修に向かうきっかけになったといいます。
森長さんが受講した研修
異業種・越境プログラムGIFT次世代リーダー育成プログラム(2023年度)
多様な価値観やバックグラウンドを持つ参加者が、地方都市などでフィールドワークを行い、現実の社会課題に協力して取り組む越境学習プログラム。プログラムを通じて共創型リーダーシップの開発を促し、不確定な状況下での社会課題への挑戦によるビジネススキルの向上を目指す。
グロービスのマネジメントスクール(2024年度)
業界・役職の垣根を超えた人材が集まる環境で、実践的なビジネススキルを学ぶ機会を得ながら、未来のリーダーを育成するプログラム。
03自らの型をリセットして考える

複数の物件を担当し、ライン長としてグループのメンバーを束ねる多忙な今も、森長さんは継続的に研修を受講し、自らの視野とスキルを広げることに余念がありません。
特に近年受講した異業種・越境プログラムGIFTの「次世代リーダー育成プログラム」やグロービスの「マネジメントスクール」はいずれも社外の参加者と共同で取り組むもので、柔軟な発想や多面的な考え方に触れて対象を俯瞰的に捉え、中長期的な視野から考える姿勢が身についたといいます。
「社会人になってある程度の年数が経つと、仕事のスタイルや思考法に、良くも悪くも一定の型ができてしまっていることに危機感を覚えていました。そんな中で、業種も年齢も異なる方々との研修で切磋琢磨することはとても刺激的。自分の思考の枠組みを飛び越え、フラットに対象を考察する経験はとても新鮮です」
04研修の効果を最大化するために

人材育成における学習効果について「ロミンガーの法則」というものがあります。人が成長する70%は業務経験から、20%は上司や同僚からの指導やフィードバックによるもので、研修や自己学習から得られる学習効果は10%程度という考え方です。
森長さんは自らの経験から、研修で学んだことを業務経験にどう落とし込めるかを考え、行動に移すことでその学習効果を何倍にも高められると考えています。
2023年に受講した異業種・越境プログラムGIFTでは三重県伊賀市で、少子化や街並みの保全といった地域課題の解決策を企業や自治体と一体で考案し同市に提案。2024年のグロービスのマネジメントスクールでは、以前から関心を寄せていた「組織運営の仕組み化」の礎になる組織論や行動論の知見を身に付けました。
「とりわけ通常の座学スタイルにとどまらない、多様な価値観やバックグラウンドを持つ方々との議論や、地方都市でのフィールドワークといった越境学習体験を通じて得たものは大きな財産。後で振り返って大きな気づきを得ることも多いです」
長期間かけて行う研修は課題の数も多く、要求されるレベルも高いため、多忙な中で通常業務と両立させるのは決して容易ではありません。森長さんも最初は苦労しました。
「多忙な中でも『あえて自らに研修という負荷をかけることで、成長機会を得られている』と考えながら打ち込むことで、次第にコントロールできるようになりましたし、ある時からその負荷が心地良くなりました。自分のキャパシティの拡大と成長を感じる瞬間があります」

学びて時に之を、活かす。
研修を通じて多様な考え方に触れることで、大きく下記のような思考の大枠をつかむことができました。これらを礎に、携わる事業のビジネス拡大に向けて取り組んでいきたいと思います。
- 自己変革を促し、成長していく力
- 性質の異なる人と語り合い、共創していく力
- 変化の激しい事業環境や異なる環境下における敏捷性と適応力
05仲間との共創を通じて理想を果たしたい

大切な人と過ごした「場所と時間の記憶」が残る空間や機会をつくりたい。森長さんが入社時に抱いていた思いは、入社から15年を経た今も変わらぬ仕事の原動力であり続けています。
そしてチームメンバーを率いる立場になった今、共に働くメンバーたちと取り組む仕事を通じて、その理想を実現したいと考えるようになったといいます。
「これまではあくまで私個人の夢として叶えられればいいことだと思っていました。これからは、チームや周囲の人と共に取り組む仕事の先に、こうした理想を実現できることに価値や面白みがあると感じています。仕事を通じて、自己実現できる環境をチームメンバーにも提供していきたいと考えています。これもまた、今まで受講してきた研修で仲間との共創によって目的を実現することの大切さや充実感を学んだからこそ、見ることができた景色であり、得られた価値観です」
森長さんは自主的な学びをきっかけに、仕事を通じて実現したい理想に近づくための「他者との共創」のあり方のヒントや、キャリアの次なる方向性も思い描いています。

これが私の仕事の流儀
周囲への「目配り・気配り・心配り」を心掛けています。
これはシニア事業の担当者時代に拝聴したある講演会での言葉で、以来ずっと心に残っています。
目配りは周囲の状況をよく観察して変化や兆候に気付くこと。気配りは相手の気持ちを察して、相手が求めるであろう少し先の行動をとること。その上で、相手の立場に立ってより深く考え、心から寄り添い、行動できるのが心配りだと考えています。
心配りが相手にしっかり伝わっていれば深い信頼関係を築くことができ、時に相手のことを思って厳しい指摘や意見をする時でも、こちらの思いをしっかり受け止めて理解してもらえると考えています。私が尊敬し、憧れる上司や先輩方にも共通して、この「目配り・気配り・心配り」をお持ちの方々が多かったと思います。