挑戦する人 齋田賢一さん

東急不動産と挑戦するDNA

DATE 2025.12.19

東急不動産は、社員に対し事業プロデューサーとして高い視座と広い視野を獲得することや、一人ひとりの「挑戦」と「自律」を支援するために、人事制度改定をはじめ、さまざまな環境整備を進めています。そんな中で社員の皆さんはどのようなキャリアを思い描き、仕事に打ち込んでいるのでしょうか。今年度は、自発的に社内研修を利用して得たものをキャリア構築に活かしている方にフォーカスを当て、思い描くキャリアの実現を支える「学び」のあり方について伺いました。

キャリアアップへの意欲✕異業種交流
=組織の成長への視座拡大

ウェルネス事業ユニット
ホテル・リゾート事業本部 ホテル事業部
統括部長
齋田 賢一 さん

PROFILE

2007年4月~
東急不動産中途入社 住宅事業本部計画部 係長
2014年4月~
住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部 プロジェクト事業部 事業企画G
グループリーダー
2016年4月~
同 首都圏住宅事業本部 再開発事業部 事業企画G グループリーダー
2019年4月~
同 再開発事業本部 事業開発部 統括部長
2023年4月~
同 首都圏住宅事業本部 開発第二部 統括部長
2025年4月~
ウェルネス事業ユニット ホテル・リゾート事業本部 ホテル事業部 統括部長

現在の主な担当業務

国内のホテル、コンドミニアム、パブリックホテル、リノベーションホテルなどの開発部門を統括。

01忘れられない、先人の学ぶ姿

「私がグループリーダーになった10年以上前のことですが、ある大先輩が、昼休みに食事をとりながら資格取得のために日々懸命に勉強する姿を目の当たりにしていました。その姿がずっと記憶に残っています」

「自ら学ぶ姿勢」について先輩や上長から受けた影響として、印象的な思い出を語る齋田さん。
入社以来18年にわたり関わってきた住宅事業から、2025年度にウェルネス事業ユニットに異動し、ホテル事業部の統括部長に就任しました。

「住宅事業では都心の物件や土地を中心に扱っていましたが、ホテル事業の舞台は、都心に加え沖縄、京都、軽井沢、箱根など地方リゾート地。担当するエリアが一気に全国に広がりました。地方の事業地周辺を訪れると、人手不足、気候変動の影響、建物インフラの老朽化は深刻であり、地域課題に直面します。観光・ホテル事業を通じて、これら課題解決に少しでも貢献したいと強く思いました」

ホテルの開発・運営という新たなミッションを担い、統括部長として事業をけん引しながら半年が過ぎました。

冒頭の言葉にあるように、東急不動産で統括部長になった後も、そしてそれ以前のキャリアでも、齋田さんは一貫して多くの研修を受講し、自発的に学びの場に身を置いてきました。

02モノづくりからまちづくりへ

齋田さんは大手建設会社、不動産コンサルの2社を経て東急不動産にキャリア入社しています。

大学では建築を専攻。「根っからの体育会系」という気質から「チームで目標に向かい成果を出す仕事」を志し、新卒で建設会社に入社しました。
早々に建築の施工管理など、チームで取り組むモノづくりの喜びを味わいます。ここでの業務経験を経て一級建築士の資格も取得。3年ほどで、不動産コンサル企業に転身しました。

「業務を請け負い、ひたすら図面に忠実に建築物を作る日々の中で、自らが広い視野を持って意思決定を行う事業主側になりたいと思ったことが要因です」

不動産コンサル企業ではコーポラティブハウス事業をはじめ、用地買収、企画、販売など開発業務を幅広く経験。こうして実りある20代を過ごしながら、持ち前の向上心と好奇心から再びキャリアの次を見据えて動きました。

「コーポラティブハウス事業は1物件の世帯数が限られ、どちらかというとニッチな分野。次はまちづくりのように、対象をマスに広げた仕事をしたいと思うようになりました」

※コーポラティブハウス事業:入居希望の数世帯が集まり、建築家とともに共同で集合住宅を作る事業

03住宅事業のエキスパートとして視野を拡大

モノづくりの現場から事業主、そしてまちづくり(デベロッパー)へ。
仕事のスケールや視野を広げながら、次のステージとして2007年に齋田さんは東急不動産に入社します。

30代では前職の不動産コンサルでの業務経験を活かし、計画部でデベロッパーとしてのキャリアを改めてスタートしました。その後40代の大部分を過ごした再開発事業時代に統括部長に就任。さらに近年は用地買収業務にも携わり、入社から2025年まで18年にわたって住宅事業畑を歩んできました。

東急不動産でも、齋田さんの向上心やデベロッパーとしての視野を広げる意欲は止まることがありません。
大規模プロジェクトや再開発事業に携わったことがきっかけで、それまで以上に論理的思考に基づいて「課題を定義する力」や「ソリューションの提案力」を錬磨する意識が高まりました。さらに年次や役職が上がるにつれて、組織と人材の成長の重要性を高い視座から見つめるようになったといいます。

「転職を何度か経験したので、市場における自分の価値を客観的に見つめるようにしてきました。そうしたことも影響していると思います」

齋田さんはそうしたキャリアの折々で、自らの目的に合った数々の研修を受講し、学びを深めてきました。40代の頃に受講したグロービスのクリティカル・シンキングも、その一つです。

齋田さんが受講した研修

グロービス クリティカル・シンキング

クリティカル・シンキングとは、経験や直感だけに頼らず「客観的な視点で」考えるためのスキル。業務効率化に必須のロジカル・シンキング(論理的思考)に加え、「自分の考えを批判的にチェックする思考法(クリティカル・シンキング)」を学ぶ。これらを通じて問題解決の手法や説得力あるコミュニケーションスキル、ビジネスライティングを「実務で使えるレベル」で身につけていく。

04異業種の同世代から得るもの

30代の後半でグループリーダーとして黎明期の再開発事業に携わり、手探りで取り組みながら同事業を推進しました。統括部長に就任してからは、10社を超えるデベロッパーが名を連ねるような大規模プロジェクトを推進することもありました。
「当時は東急不動産内にも再開発の知見をもつ人材がまだ少なかった時期。事業の仕組みやルールを社内外の多くの関係者に分かりやすく伝え、提案するスキルの必要性を強く感じてクリティカル・シンキングを受講しました」

齋田さんはこれまで受講してきた研修において、研修の主題であるスキルや知識の習得はもちろん、「異業種で活躍する同世代の人材」からも多くのものを得てきたといいます。

「業種が違っても、仕事とプライベートの双方で世代ごとに共通の悩みや課題はあるもの。共に切磋琢磨する受講者同士で多様な考えや価値観を交換し、刺激を与え合う機会になりました。これは業務でも相互成長できる環境づくりをする上でのヒントになります」

学びて時に之を、活かす。

担当するプロジェクトの規模が大きくなるにつれて、自分だけでコントロールできる業務範囲は限られてくるので、直下のグループリーダーや係長たちとの意思疎通がますます重要になります。その点で、クリティカル・シンキングで学んだ発信・伝達の仕方が大いに役立ちました。さらに論理的な思考や「課題の定義の仕方」を強化したことで、権利者様など多様なステークホルダーにより分かりやすい説明ができるようになったと思います。

05ハードな研修で「経営者視点」を身につけて

常に、精力的にキャリアに有益な学びを続け、活躍のステージを広げてきた齋田さん。2024年には、経営人材としての視座を学ぶ「東急アカデミーILDP」を受講する機会を得ました。
ILDPは、受講者が東急グループ内の他社の経営課題と解決策についてリサーチし、実際にその会社の社長を含む経営陣にプレゼンで提案するというハイレベルなもの。齋田さんが担当したのは東急建設でした。

※ILDP:Innovative Leadership Development Program(変革型リーダー育成プログラム)

東急建設の強みと課題について同社の社員へのヒアリングを重ねて生の声を拾い集め、半年に及ぶ研修期間中は休日もソリューションのアイデアについて考え続ける日々が続きました。

「とにかくハードでしたが、せっかくの機会ですので研修を真剣に楽しもうと心に決めて臨みました。ここでも東急グループ内の異業種の受講者と有意義な交流ができましたし、何よりもあらゆることに感度高くアンテナを張り、365日思考し続ける経営者の方々のマインドに触れられる貴重な経験になりました」

経営者の視点を学び、今年度からはホテル開発という新たなステージで頼れるメンバーと共に事業を邁進する今、齋田さんは人材と組織の成長にこれまで以上に意欲を燃やしています。

「かつて私が先人の学ぶ姿に感化されたように、私もまた部下に自らの研修の内容や経過を共有したり、学ぶ姿勢を積極的に伝えています。自ら学ぶことで、年齢を重ねても自己成長することができる。これからもその大切さを伝え、自らが会社の成長に貢献する人材であり続けられるよう努めます」

これが私の仕事の流儀

仕事で大切にしていることの一つは、外から得た情報、課題を自分事として捉え、「一人称、自分の言葉」に置き換え、相手に語ること。
もう一つは、部下メンバーを支援する「フォロワーシップ」と、組織をけん引する「リーダーシップ」の両面をバランス良く持つことです。
メンバーが失敗を恐れずに挑戦し、そこから学べる環境や風土を醸成し、個人の成長を促すリーダーでありたいと思っています。