
挑戦する人 横山大輔さん
東急不動産と挑戦するDNA
DATE 2025.11.21
東急不動産は、社員に対し事業プロデューサーとして高い視座と広い視野を獲得することや、一人ひとりの「挑戦」と「自律」を支援するために、人事制度改定をはじめ、さまざまな環境整備を進めています。そんな中で社員の皆さんはどのようなキャリアを思い描き、仕事に打ち込んでいるのでしょうか。今年度は、自発的に社内研修を利用して得たものをキャリア構築に活かしている方にフォーカスを当て、思い描くキャリアの実現を支える「学び」のあり方について伺いました。
広域渋谷圏のまちづくり×地方都市課題の解決
=トライセクター人材としての視点
渋谷運営事業部 運営企画G

PROFILE
- 2009年4月~
- 新卒入社 関西支店 第二住宅事業部
- 2010年4月~
- 関西支店 住宅事業第一部
- 2012年4月~
- 関西支店 業務推進G
- 2014年4月~
- 都市事業ユニット 都市事業本部 商業施設開発部
- 2016年4月~
- 東京急行電鉄(株)(現 東急(株))出向
- 2018年4月~
- 都市事業ユニット 渋谷プロジェクト推進本部
一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント(兼務出向) - 2019年4月~
- 一般社団法人渋谷未来デザイン(兼務出向)
- 2021年4月~
- 都市事業ユニット スマートシティ推進部
- 2022年4月~
- 都市事業ユニット 渋谷開発本部
- 2024年4月~
- 都市事業ユニット 渋谷事業本部 渋谷運営事業部エリアマネジメントG
現在の主な担当業務
広域渋谷圏におけるエリアマネジメントを担当を経て、現在は以下の業務に従事
- 次世代に向けた新しい食文化づくりに挑戦する新規事業「(株)日本食品総合研究所」の事業推進
- 東急不動産が展開する広域渋谷圏の主要商業施設の運営(渋谷フクラス、フォレストゲート代官山、代々木公園BE STAGEなど)
01広域渋谷圏のまちづくりの最前線を走る

眼下に望む渋谷駅やスクランブル交差点、そこから街が広がり、少し西側に目を向けると渋谷ソラスタが見える……! そんな、渋谷エリアの街を一望できる絶好のロケーション。
渋谷サクラステージ SHIBUYAタワーの最上階(38階)にある、㈱日本食品総合研究所が運営する起業支援施設「manoma」からの眺めです。
「渋谷エリアは、常にたくさんの『新しい』が舞い込み、それを取り入れてまた新しい魅力を備える、そのような街だと思います」
街並みを見下ろしながらそう語る横山さん。
横山さんは、エリアマネジメントの担当として、渋谷ストリームが開業した2018年の「まちびらき※第1期」、2019年の渋谷スクランブルスクエア、渋谷フクラスが開業した「まちびらき第2期」、2024年の渋谷サクラステージが開業した「まちびらき第3期」まで全ての街の節目に携わり、これまで8年にわたり、都市事業ユニットで広域渋谷圏のまちづくりの最前線を担っています。
※「まちびらき」とは、公共施設の整備や大規模建築物の開業に合わせ、区民・事業者・教育機関・区が協働で、新たな渋谷を発信し盛り上げていく取り組みのこと。
「東急不動産に入社して、100年に1度の大規模再開発と呼ばれる渋谷が大きく変わるタイミングで、広域渋谷圏のまちづくりに携わることができ、とても恵まれていると感じています」
02これまでのすべての経験が広域渋谷圏のまちづくりに通ずる

学生時代は大学・大学院で建築や都市計画を学んでいた横山さん。まちづくりへの関心からデベロッパーを志していました。
東急不動産入社の際は、「渋谷のエリアマネジメントをしたい」という明確な目標を持っていたといいます。
入社直後は関西支店で、住宅事業の用地取得や計画、販売管理など一連の業務を経験しながら5年間を過ごしました。
その後は首都圏に移り、商業施設の開発を担当。2016年に東京急行電鉄(株)(現 東急(株))に出向した際は、二子玉川ライズにおけるタウンマネジメント、イベントを通じた街のブランディングに携わります。
「出向して、外から客観的に東急不動産の強みを見つめることができました。また、それまでは開発業務中心でしたが、施設の現地運営を経験したことで、施設を『つくる側』と『つかう側』双方の視点を持てたことは大きな成長だと思います」 これらの経験は、横山さんが自らのキャリアの今後について改めて考えるきっかけにもなりました。
入社10年目の2018年に渋谷プロジェクト推進本部に異動。晴れて、学生時代から思い描いていた渋谷エリアのまちづくりに携わることになりました。
「振り返ると、入社から9年ほどの間に担当してきた業務は全て、広域渋谷圏のまちづくりという今の仕事の基礎になっていると実感します」
03自らの「原点になった街」で課題解決に挑む

広域渋谷圏のエリアマネジメント担当として、行政(国、東京都、渋谷区)や地域の方々、事業パートナーと共に奔走する日々が始まりました。東急不動産の立場に加え、一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント、一般社団法人渋谷未来デザインへ兼務出向していたこともあり、行政、地元、音楽、アート、インバウンド観光、広告メディア、環境、アーバンスポーツ、スタートアップなど、横山さんは不動産業にとらわれない多種多様なステークホルダーを巻き込み、さまざまな角度からまちづくりに携わる仕事の醍醐味を深く知ります。
その中で、いつしか横山さんの中に新しいチャレンジへの思いが芽生えていました。
「これまでのキャリアや渋谷エリアのまちづくりで培った知見や経験を、全く違う地域の行政と連携する形で活かせないだろうか?」
2024年、この挑戦を研修で実現する機会が訪れました。
異業種・越境プログラム「GIFT」への参加です。同研修では、横山さんにとって思いがけない巡り合わせもありました。
「フィールドワークの対象が、学生時代を過ごした仙台だったんです。まちづくりへの思いを抱いた原点と言える場所で、デベロッパーになった自分が地域課題の解決に取り組めて感慨深かったですね」
横山さんが受講した研修
異業種・越境プログラム「GIFT」:(2024年度)
多様な価値観やバックグラウンドを持つ参加者が、地方都市などでフィールドワークを行い、現実の社会課題に協力して取り組む越境学習プログラム。グループワークを通じて共創型リーダーシップの開発を促し、不確定な状況下での社会課題への挑戦によるビジネススキル向上を目指す。

学びて時に之を、活かす。
研修を通して、下記について改めてその大切さを実感しました。
- ステークホルダーといかに合意形成をしていくか
- チームメンバーの特性を尊重して、チームとして1つのものを作り上げていくことの重要性
地域や社会課題の解決法を考えるにあたっては、具体的なアイデアを深めるだけでなく、ステークホルダー全員が納得できる上位概念や課題解決の方向性を常に示して進めることが大切だと考えています。研修では、仙台市役所やシステムエンジニア、コンサルタントの方々など異業種のメンバーと取り組む中で、これまで東急不動産のキャリアで培ってきた知見を今一度再確認する機会にもなりました。
04研修ならではの「フラットな議論」で得たもの

3カ月間の研修では異業種のチームメンバーと一体でオンラインでの打合せや現地でのヒアリングを重ね、「住みやすいまち仙台を目指して」をテーマに、「そのために克服すべき課題」について議論を深めました。
「日々の業務では立場や役割の違いがあるかと思いますが、研修では参加者全員が対等な立場です。その中で、質の高い議論をするためにメンバー同士が自由に意見を交換し、相談しやすい雰囲気づくりをすることが大切であると改めて学びました」
異業種で異なるバックグラウンドを持つメンバーと一緒にフラットな議論を重ねる中で、メンバーや自身の特性を活かしたチームビルディングについても視野が広がったといいます。
「積極的に意見を出して議論を引っ張る人、逆に口数は少なくても冷静に核心を突いた指摘をする人、関係者との調整を円滑に進める人など、強みは人それぞれです。特性を認め合い、チーム運営に活かす経験は日々の業務に活かせる学びがありました」
異業種・越境プログラム「GIFT」以外にも数多くの研修を受講している横山さんは、研修では多くの学びがあると言います。 「研修を通して日常業務では得られない新たな知識や視点に触れることで、自身の視野を広げたり、視座を高めたりすることができます。従来の考え方や日常業務の進め方を見直す機会にもなるので、研修を堅苦しく考えず積極的に研修を受講しています」

社員研修 社員の視点
渋谷区が目指すのは、ロンドン、パリ、ニューヨークなどと並び称されるような「成熱した国際都市」。インバウンドが急増しており、広域渋谷圏で働く東急不動産の社員にとって、グローバルな視点は今後ますます重要になると思います。東急不動産でも海外トレーニー制度※など行われていますが、短期間でも実際に海外の都市に身を置いて学ぶ機会があればぜひ挑戦してみたいですね。
モデルケースとなる海外の都市で「魅力的な国際都市」や「あらゆる国の人が来たいと思う街」の共通要素や課題について、知見を深めて広域渋谷国のまちづくりに還元できれば理想的です。
※人材育成を目的に社員を自社の海外拠点に派遣する制度
05民間・公共・社会の垣根を超えて活躍する人材へ

横山さんの本業である広域渋谷圏のまちづくりや、研修で取り組んだ地方都市の課題解決は、いずれも官・民と地域(市民)が連携してより良いまちづくりを実現するためのプロセスです。
本業と研修でのかけがえのない経験を通じて、横山さんの今後のキャリアの指針となるキーワードが明確になりました。
それは、民間(企業)・公共(行政)・社会(市民)の垣根を越えて活躍する「トライセクター人材(Tri-Sector Leader)」と呼ばれるあり方です。
「急激な変化の時代の中で、これからは自分が活躍するフィールドをだけに限定せず、垣根を越えて事業を積極的に広げていくことがデベロッパーにとって重要だと思います」
主要な施設が開業を迎え、広域渋谷圏は「強靭化フェーズ」に入りました。まちづくりにおいても、ハードだけでなく、ソフトの重要性がさらに増していきます。
横山さんは今、新しいスタートに立ちながら、渋谷エリアに人が集まる魅力的なプラットフォームづくりに向けての思いを一層強くしています。
「行政や地域社会と縦横につながりながら、一企業としての視野にとどまらずに広く『社会に対してどんな価値を提供できるのか』という視点で活躍できる人材を目指します」

これが私の仕事の流儀
立場や所属の違う人同士が「より良いまちづくり」という共通のゴールに向かう時は、自分の職域や担当業務だけにとらわれていては、よいものは作れません。
当社や自身の中だけで完結した100点満点で仕事をするのではなく、ステークホルダーとともに価値を共創することで、200点満点、300点満点の視点で大きな成果を目指すことが重要だと考えています。
そうした意識で取り組んでいれば、当社が想定していなかったことも含め、結果として、当社にとってより良い成果や今後の成長につながることが多いと感じています。