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2020年10月29日

プロジェクト・ノート

「広域渋谷圏構想」篇

街の多様性を活かした
エリア起点での価値創造

Part 1

新しい働き方を提案し、
渋谷の魅力を高める

東急不動産株式会社
取締役 常務執行役員 
池内 敬

100年に一度といわれる大規模な再開発が進む渋谷。東急不動産は渋谷駅を中心とするエリア一帯を「広域渋谷圏」と定め、長期的視点に立って再開発事業に取り組んでいます。2019年には「渋谷ソラスタ」と「渋谷フクラス」が竣工し、再開発も佳境を迎えています。渋谷プロジェクトの責任者に、成長する渋谷と「広域渋谷圏構想」のめざす姿について聞きました。

ヒエラルキーから解放された自由が渋谷の魅力

私たちのホームグラウンドである渋谷の魅力は、伝統的なオフィス街にありがちな、いわゆる権威主義的なヒエラルキーとは無縁で、自由な場所であることです。渋谷ではこれまで、需要に対して不足しがちだったオフィスを供給すると同時に、スタートアップ支援を行い、都市が抱える社会課題に向き合いながら、官民連携でエリアマネジメントに取り組み、積極的なエリアの活性化を図ってきました。

「渋谷フクラス」の計画にあたっては、地域の皆さんと対話を重ねながら、旧「東急プラザ渋谷」を含む周辺との一体開発を進めました。バスターミナルの設置のほか、駅との連絡デッキ、地下駐車場、荷捌き場などを整備し、周辺道路の駐車車両を一掃することで、歩行者の安全と円滑な人の流れを確保し、渋谷駅前が抱える課題解決に貢献しました。

東急不動産の本社が入居する「渋谷ソラスタ」は、ロビー部分を開放することで、災害時の帰宅困難者受け入れ施設として機能します。これは渋谷区との約束ごとで、数日間の食料備蓄もあります。こうした取り組みは、渋谷という街の多様性を活かすハードとソフトを融合させた街づくりを行ってきた私たちだからこそ、できる活動ではないかと思います。

渋谷の街を一望できる渋谷フクラス17階の
ルーフトップガーデン「SHIBU NIWA」

働き方の多様化で変わるオフィスニーズ

コロナ禍を受けて、今までの価値観は変容しつつあります。感染防止を目的にソーシャルディスタンスが求められ、テレワークが普及し、一部では「オフィス不要論」まで出ました。実際、働く場所は都心に限らず、在宅も、シェアオフィスもあります。さまざまな場所へと選択肢を広げています。私たちの社内でもテレワークの導入を評価する声が多くありましたが、同時に、コミュニケーションの不便さなど、デメリットも多くありました。ビジネスには、コミュニケーションから生まれるアイデアや、イノベーションも少なくありません。また、帰属意識の向上、チームづくりなど、組織力を高める場所として、オフィスが果たす役割は大きいはずです。

新型コロナウイルスの影響によって、求められるオフィスの姿も多様化しています。これまでのように、オフィスは社員のデスクを配置する場所というのではなく、社員がつながるための「プラットホーム」としての役割が大きくなっています。さらに、駅に近い高層ビルのオフィスだけでなく、駅から少し離れた低層のオフィスや、商業空間と一体になったオフィスなど、さまざまな形でフレキシブルに働く場・環境というニーズが生まれてきています。

自由なスペースでフレキシブルに仕事をする。例えば、商業空間にある物販店で、商品が陳列してある横にシェアオフィスがあれば、そこで仕事をしても構わないし、その近くで有名な経済人の講演があれば、一緒に聞いてもいいでしょう。そんな風に、これまでになかったような、オフィスと商業スペースの使い方が増えていくのではないでしょうか。オフィスと商業施設、さらには住宅との床の区分がなくなり、シームレスにつながっていくとすれば、多様なアセットを持つ私たちのグループにとっては、提案の幅も広がり、大きなチャンスになるかもしれません。

渋谷を企業が育つ街、成長する企業が集まる街に

渋谷やその周辺エリアは、居住地に近いこともひとつの魅力です。住むことと働くこと、娯楽や楽しみまでを含めて、業務用途だけにこだわらずに、いろいろな用途の建物を作っていきたい。そして、住まい方、働き方、過ごし方の提案を通じて、新しいライフスタイルを発信するとともに、新たな層を招き入れ、渋谷に集まる人を増やしていくことも、私たちの構想の目的です。

コロナ禍にあっても、スタートアップ支援についての私たちの姿勢は変わりません。街の自由な魅力に惹きつけられるスタートアップにとって、変革期だからこそ、新しいイノベーションが生まれる可能性を大いに持っています。これまで、スタートアップといえば多くはIT系の企業でしたが、テクノロジーを使ってビジネスを展開していくことが既に一般化した現在、わざわざ「IT企業」とは名乗らず、さらなる工夫を凝らしてビジネス展開するスタートアップがどんどん増えると思います。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進めば、センシングやD2Cなどの技術や仕組みをもとに、さまざまな新しいビジネスが広がり、多くの企業が現れるでしょう。そんな、元気のある企業を私たちは応援していきたい。そして、そういう企業に、ぜひ渋谷に集まってほしいと願っています。

既に成功しているIT企業とコラボレーションする方や、逆に、そういうコミュニティから卒業して新規ビジネスをはじめる方など、これからも渋谷に縁のある人々が、より成長していく時代が続くと思います。テクノロジーによって新しいビジネスが生まれ、それが集積して、街が成長する。新しい渋谷は、「成長企業」が集積する場所にしたいと私は考えています。そしてそれを私たちも全力で応援することで、さらに渋谷の経済、ビジネスをより大きくしていきたいと思っています。

「やはり渋谷は面白い」「発見がある」「出会いがある」と人々が感じ、この渋谷に集まってくるように、魂を込めて魅力あるコンテンツを増やしていきます。「成長企業」が次々に育つ街、集まる街として、街づくりを「点」から「面」へと広げ、「広域渋谷圏」というエリア全体の価値向上につなげていきたいと思います。

Project Information

渋谷、青山、表参道、原宿、恵比寿、代官山など、個性豊かな街が集まるエリア一帯を「広域渋谷圏」と定め、東急グループの一員として「エンタテイメントシティSHIBUYA」の実現に取り組んでいます。グループの主要物件が集積し、交通利便性の高さも魅力です。

提供:東急株式会社

提供:東急株式会社

提供:東急株式会社

提供:東急株式会社

2027年頃の渋谷駅周辺完成イメージ。
駅周辺の回遊性を高め、
街の広がりを加速させる
渋谷再開発は、これからも続く。