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vol.302020年12月03日

東急リゾートタウン蓼科「もりぐらし」篇

官民連携で「もりぐらし」を地域に拡げる

長野県茅野市 産業経済部 商工課 係長 北原 一秀さん

バイオマス資源の活用をきっかけに、それぞれの立場から共通するテーマで蓼科の将来像を描く茅野市と東急不動産。森をまもり、森とともに暮らしていくためには、地域の人々の理解と目的の共有が欠かせません。そんな「もりぐらし」を実践する行政のパートナーである茅野市商工課の北原一秀さんに、リゾートのあり方や広がりを見せるワーケーションへの想いを聞きました。

仕事をしながら休暇を楽しむワーケーション

私自身、東京から茅野に移住した一人です。出身は茅野よりも少し南の伊那で、大学に入学した時からずっと東京で暮らしていました。国家公務員として経済産業省で働いていたのですが、ちょうど、長男の誕生と東日本大震災が重なったことがきっかけで、東京で暮らすのが本当によいのか、真剣に考えるようになりました。そこで、地方公務員であれば、これまでのキャリアを活かせるかもしれないと考え、一念発起したところ、縁あって茅野市に採用されました。現在は商工課に配属されていますが、採用直後は移住推進の担当で、都会の人たちに蓼科の魅力を伝える仕事をしていました。

新宿から特急「あずさ」一本で来ることができる茅野市には、文化・歴史、観光資源など、人を惹きつける資源が豊富にあります。JR茅野駅を出るとすぐに美術館があり、飲食や買い物、娯楽といった街の機能が駅周辺に整備されています。「ワークラボ八ヶ岳」というコワーキングスペースもあり、仕事もできるし、美術も楽しめる、蓼科まで足を伸ばせば、大自然も満喫できる。リゾート地として必要な要素がすべて揃っています。

働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、働き方や暮らし方が見直されはじめています。長野県では、リゾート地に滞在し、仕事をしながら休暇を楽しむ新しいライフスタイルとして、リゾートテレワークを推進し、都市部から新たな人の流れを創出することによる地域活性化に取り組んでいます。茅野市も同様に、ワーケーション促進を図る全国の自治体で構成されたワーケーション自治体協議会に参加しています。

私自身、この地に長く暮らしてみて、本当にすばらしいと感じることは、日々の仕事をしながら、心身が癒され、それが明日への活力になるということです。夏に都会の蒸し暑いプラットホームで、電車が早く来ないかと待つことに比べれば、あふれる自然と、湿度が低く爽やかなこの環境は、何ものにも代えがたいものがあります。たとえ東京で暮らしていた時より収入が下がったとしても、この環境で暮らすことの方が、はるかに豊かで贅沢ではないかと私は思います。

テレワークに適した環境づくりを進める茅野市

蓼科に別荘地が生まれたのは、大正時代までさかのぼります。当時、海外で行われていた大気療法を日本に導入しようとした上諏訪町高島小学校の校医であった小沢先生が、蓼科ではじめた虚弱児童の高山保養訓練がきっかけとなり、その話が医療関係者の間で広がり、別荘が建てられるようになりました。全国にはさまざまな別荘地があり、ワーケーションを促進する自治体も「競争状態」なのですが、ここ蓼科は「医療関係者による歴史のお墨付き」という強みがあります。

ワーケーションを促進するために、茅野市でもテレワーク環境の整備を進めています。茅野市のコワーキングスペース「ワークラボ八ヶ岳」もその一環として、2018年の3月に開設しました。利用者数もどんどん伸び、都会から訪れる人や茅野市内にある公立諏訪東京理科大学の大学生など、さまざまな人々が集まり、テレワークの場だけでなく、茅野市の内外の交流拠点として、活発に利用されています。

もともと諏訪盆地一帯は東洋のスイスと呼ばれ、澄んだ空気と水を資源に、精密機械工業の集積地になっていました。近年は蓼科の大自然をベースにした観光事業やサービス業、建設業も発展し、農業も盛んです。今後、5Gによる高速通信網が整備されると、さらに総合的な産業の集積地としての可能性が広がるでしょう。茅野市では現在、国の臨時交付金を使って、ワーケーションサービスを提供する市内の宿泊事業者、観光事業者のハード整備を補助金により支援しています。

テレワークの機会が増え、オフィスに集まらなくてもできる仕事が注目されるなか、ここ蓼科に滞在して働くことの良さを多くの皆さんに知っていただきたいと思います。蓼科の自然が働く人の健康をサポートし、仕事への活力を与えるということ。それは、ストレスなく快適に働くことができるということです。「東急リゾートタウン蓼科」を訪れる皆さんにも、「働きながら、憩う」を実際に体験し、茅野市がワーケーションに最適な場所であることを実感していただけたらと思います。

「もりぐらし」の考え方を地域に拡大していく

現在、蓼科一帯はカラマツの植樹から一定期間が過ぎており、放っておくと倒木や土砂崩れなどの災害につながるため、間伐による環境保全は茅野市の喫緊の課題でした。しかし、間伐には多くの手間と費用がかかり、また、伐採しただけで終わりにはできず、木材の処分など多くの難題がありました。そのようななか、「東急リゾートタウン蓼科」では、間伐材をチップにして、それをバイオマス燃料に使うという取り組みが始まりました。この先駆的な再生可能エネルギーへの取り組みは、行政としての茅野市の考えとも合致しており、大変共感できました。

リゾートタウンのコンセプトである「もりぐらし」には、「森をまもり、森とともに暮らす」ためにあるべき地域の姿が「見える化」されています。いろいろな利害があるなかで、こうして官民が一体となり、同じ目的を持って取り組むことに、大きな意義があると思います。また、「東急リゾートタウン蓼科」だけでなく、これらの取り組みを隣接する鹿山地区にまで広げようと、リゾートタウンの皆さんには「もりぐらし協議会」の立ち上げや森林経営計画の見直しも行っていただきました。

地元の人々、外から来た人々、行政、それぞれ立場は違いますが、皆さんが同じ方向を向くことが大切だと思います。それぞれの地域で自主的にさまざまな課題に取り組むことができれば理想的なのですが、担い手がいないことで、どうしても待ちの状態になっています。「もりぐらし」のようなお手本となるモデルが生まれることで、私たちも「鹿山地域ではこうやっていますよ」「こうすれば行政も力添えできますよ」と、他の地域の皆さんに対して後押しすることができます。「東急リゾートタウン蓼科」の取り組みは、言ってみれば、地域にとっての道標であり、教科書です。こうした取り組みが、八ヶ岳の向こうまでどんどん広がってほしいと願っています。

Project Information

八ヶ岳を望み、古くから湯治場として栄えた地に、1978年に開業した「東急リゾートタウン蓼科」。
広大な敷地に約2,400戸の別荘、ホテル、ゴルフ場、スキー場などを備えた複合リゾートとして、お客さまに愛されてきました。2017年には「もりぐらし」をテーマに一部をリニューアル。新しいリゾートライフを提案しながら、地域の課題解決に取り組んでいます。

「東急リゾートタウン蓼科」は、蓼科高原のほぼ中央に展開する
東京ドーム約140個分の複合リゾートで、広大なカラマツの森に囲まれている。

7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

13.気候変動に具体的な対策を

15.陸の豊かさも守ろう

17.パートナーシップで目標を達成しよう

東急不動産ホールディングスグループは、2015年に国連サミットで採択された2030年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献しています。持続可能な世界を実現するための17の目標のうち、取り組む項目を定め、SDGsを起点にサステナブルな社会と成長をめざします。
本プロジェクトにおいては、上記の目標の達成に寄与するものと考えます。

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