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2020年11月12日

プロジェクト・ノート

「LOGI'Q三芳」篇

社会課題の解決を図る
次世代物流センター

Part 1

働きやすい空間づくりで、
社会のニーズに応える

東急不動産 事業推進
(開発)担当

新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、その役割の重要性が改めてクローズアップされる物流業界。しかし、その内側には慢性的な人材不足や労働環境の問題など、さまざまな課題を抱えています。こうした課題の解決をめざす次世代物流センターが「LOGI'Q(ロジック)」です。国内にある10施設(2020年10月現在)のひとつ、2020年に竣工した「LOGI'Q三芳」で、若い視点でユニークな取り組みにチャレンジした開発担当者に話を聞きました。

インタビュー
平林夏生:東急不動産株式会社 都市事業ユニット インフラ・インダストリー事業本部 ロジスティクス事業部

地域との共生に向けたサステナブル・ロジスティクス

当社の物流施設「LOGI'Q(ロジック)」は、「多くの物や人が行き交い、豊かな社会を支えるロジスティクスを、今まで以上に社会に溶け込むものにしていきたい」という想いから生まれた物流施設です。物流の未来を向上させる情熱、人や社会の豊かさへの貢献、施設に関わる企業への信頼と約束、そして、デペロッパーとしての総合力。この4つを柱に、今までの物流倉庫のイメージを払拭する、付加価値の高い施設づくりをめざしています。

「旧ASKUL Logi PARK 首都圏」の建替え事業として進められた「LOGI'Q三芳」は、テナント企業のニーズに応じて建築を行うBTS型(原則として棟全体をひとつのテナントに賃貸)の物流施設です。安心安全を追求し、地域と共生することで長く愛される施設をめざす「サステナブル・ロジスティクス」と、物流施設のイメージを変える「新しい働き方の提案」という二軸のコンセプトがあります。

「サステナブル・ロジスティクス」に向けては、新しい法令基準や消防ガイドラインを上回る消防設備の設置など、安全面で細心の注意を払っています。本物件は、毎年総務省が公表のある「優良消防用設備等」として2020年度に表彰され、消防対策への取り組みを大きく評価していただきました。また、三芳町は三富新田(さんとめしんでん)の世界農業遺産登録をめざしていることもあり、建物の外観には、短冊形に並ぶ三富新田の景観をモチーフに取り入れ、地域の風景に溶け込む施設のデザインにしています。さらに、外構部には緑溢れる遊歩道を整備するなど、地域に親しまれる施設づくりを意識しました。

計画にあたっては、アスクルの方々へのプレゼンテーションはもちろんのこと、三芳町長にも直接プレゼンテーションを行い、提案と要望のキャッチボールを繰り返しながら計画を進めていきました。

働く人のモチベーションと生産性の向上に向けて

物流施設には、ここ「LOGI'Q三芳」のように、工場などから届いた荷物の保管機能を持つ在庫保管型物流センターと、保管機能を持たず、届いた荷物をそのまま荷捌き・仕分けして配送する通過型物流センターがあります。多くの物流施設が24時間稼働しているなか、「LOGI'Q三芳」は、深夜の業務は少なく、働く人に過度の負荷がかからないよう、業務時間に配慮しています。働いている方々は年齢層が幅広く、男女比は半々で、主婦やフリーター、外国人も少なくありません。業務面でも環境面でも、モノが主役になりがちな職場だからこそ、「働く人を主役にしたい」という私たちの想いをこの施設で具現化しました。それは、「LOGI'Q」がめざす方向性でもあるからです。

施設内には「新しい働き方の提案」をコンセプトに、働く人のモチベーションや生産性を高める仕掛けをふんだんに取り入れました。東急スポーツオアシスとのコラボレーションによる「ちょいトレパーク」は、単に広場に遊具を置くだけではなく、仕事に疲れた身体への癒しや、健康づくりを実現できるよう、ジムの要素を加えました。将来的には、スマホアプリを利用したオンラインヨガやトレーニングへの展開も検討しています。

また、高品質な音響空間サービス「KooNe」が演出する空間は、森と自然のリアルな環境音に溢れ、癒しと安らぎを感じることができます。エントランスには「チアアップ」、リフレッシュルームには「アクティブリフト」と名づけたオリジナルアロマも香り、リラックス効果だけでなく集中力アップなど、シーンに併せた効能が狙いとなっています。音や香りを通して五感に訴えかけるサービスは、本社のある「渋谷ソラスタ」でも導入されているように、働く人のストレス軽減にすごく効果的だと感じています。

空間デザインの面では、今までの物流倉庫のイメージを変えたいという想いもあり、都心のオフィスを彷彿させるような、現代的なエントランスデザインを採用しました。また、東急ハンズが設計したリフレッシュ空間は、屋上テラスと内廊下が一体となった、おしゃれなカフェのようなデザインが特徴で、三富新田のゆったりとした田園風景が一望できます。豊かな自然を身近に感じながら働けることは、郊外立地が多い物流倉庫ならではの特権だと思います。施設に隣接する遊歩道には、この地に馴染みのある樹種を選定し、地域の皆さんにも座っていただけるベンチをつくることで、外部の方との交流ができる場所にしました。また、地元の再発見になるようにと、地域紹介のパネルも設置しています。

ここで働く人は年齢層も国籍も幅広いので、サインにも配慮しました。ダイバーシティの観点も重要です。オールジェンダーを意識したトイレを「いろどりトイレ」と名づけ、それぞれ個性を持たせたデザインにして、誰もが楽しく使えるように工夫しました。私は、虹色の部屋が特に気に入っています。「踊るような気持ちを表現したポップさ」をコンセプトにしたレインボーカラーは、ダイバーシティのイメージにもリンクします。

この施設は、東急不動産のオフィスビルや商業施設のノウハウ、東急ハンズや東急スポーツオアシスなどのグループシナジーを活用し、働く人のモチベーションを高め、生産性の向上を図るだけでなく、人財確保にも効果的だと考えています。

社会課題の解決を支える次世代物流センターへ

2019年度入社の私は、最初の配属がロジスティクス事業部でした。それまではあまり物流を意識していなかったので、「LOGI'Q」というブランドも、入社後に初めて知りました。物流は現在、社会的なニーズも高まり、東急不動産でも力を入れている分野です。新しいことにもどんどんチャレンジできるので、楽しく仕事をしています。

「LOGI'Q三芳」の建設計画は2018年から始まっており、私が入社した時には、すでに基礎設計の図面はできていました。その上で、もっと施設をよくしていくためのアイデアをチームで考え、「いろどりトイレ」やオリジナルアロマの開発、「ちょいトレパーク」は、主担当として取り組ませていただきました。それだけに、「LOGI'Q三芳」が無事竣工し、リリースが出た時はとてもうれしく、私たちの想いが形になったことを実感することができました。商業施設に比べると地味な物流施設でありながら、10社以上のメディアに取り上げられたことには大きな手応えを感じました。

新型コロナウイルスの影響で、Eコマースや物流への需要はますます高まっています。その一方で、人手不足が深刻化するとともに、働く人の多様化や労働環境の改善など、物流業界は多くの課題に直面しています。私たちの考える新しい働き方の提案が、こうした社会課題を解決する一助になればと願っています。

今後、ローカル5G環境を物流倉庫に導入し、ロジスティクス業務のデジタル化や自動化を進め、さらに、作業スタッフや荷物の稼働データの見える化や自動運転・遠隔操作、それらの一元管理などを推進していきます。IoTデバイスやロボットを活用し、企業間の連携にも取り組みながら、スマート物流を実現します。次世代物流センター創出に向けて、そして、社会インフラを支える一員として、私たちは「LOGI'Q」の取り組みを通して、物流の未来に貢献していきたいと思っています。

Project Information

名称 LOGI'Q三芳
所在地 埼玉県入間郡三芳町上富1163番他
延床⾯積 71,035.71m2(21,488.30坪)
主要用途 倉庫(倉庫業を営む倉庫)
竣工 2020年1月